蒲田〜こだわりの豆、街、人生 その1

――平日の昼下がり、地下鉄はガラガラ、胃袋は正直――

平日の昼下がり。

都心の喧騒から少し外れた時間帯の地下鉄は、まるで別世界のように静かだった。

吊り革も座席も空いていて、車内の空気にどこか“余白”がある。

こんな時間に動けるようになったのも、長い人生のご褒美みたいなものだ。

今日は息子のゲンちゃんと蒲田へ。

目的はただひとつ――パンダの担々麺。

駅前の商店街を抜けると、赤い看板とパンダのイラストが目に飛び込んでくる。

昭和の香りを残した雑多な街並みに、妙にしっくり馴染んでいる。

店先には、夜の部の居酒屋メニューの貼り紙。

激辛ラー油の瓶がテーブルに鎮座し、

「挑戦するなら覚悟しろよ」と言わんばかりの存在感を放っている。

◆ ◆ パンダの担々麺は“街の味”だった

注文して数分。

湯気をまとった担々麺が、どん、と目の前に置かれる。

  • 濃厚なスープ
  • 自家製麺のコシ
  • 半熟卵の鮮やかな黄身
  • 青菜の香り
  • そして、激辛ラー油の誘惑

レンゲを入れた瞬間、

「これは当たりだ」と直感した。

ゲンちゃんは黙々と麺をすすり、

私は写真を撮りながら、

「この瞬間を“徘徊記録”に残さねば」と妙な使命感に駆られていた。

◆ ◆ 平日の空白時間に漂う“自由”

外に出ると、商店街は相変わらずゆるい空気。

サラリーマンの姿は少なく、

買い物帰りの人たちがのんびり歩いている。

この“空白の時間”に街を歩くと、

若い頃には見えなかったものが見えてくる。

  • 店の前に立つパンダの置物
  • 風に揺れるメニューの旗
  • 昼下がりの光に照らされたラーメン鉢
  • そして、ゲンちゃんの至福の横顔

人生の後半戦に入ると、

こういう何気ない景色が、妙に胸に沁みる。

◆ ◆ 今日の徘徊の結論

パンダの担々麺は、味だけじゃなく“時間の味”がした。

平日の昼下がりに、息子と食べる一杯。

それだけで、人生は少し豊かになる。

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