大学の寮には、よく「部屋回り」というものがあった。
今ならケータイで危険を察知して回避できるし、
そもそも寮は個室が当たり前だろう。
私が学生だった頃――かれこれ半世紀前――は、
4人部屋で、その“災難”は日常茶飯事だった。
寮内では、部屋単位や運動部単位で酒盛りが頻繁に行われ、
覇気のある先輩方が度胸試しに、
寝静まった寮生の部屋へ突然やって来る。
そして、直立不動の「自己紹介」。
夜中に叩き起こされ、声を張り上げる。
今思えば、あれも妙な儀式だった。
私は2年生の終わりに寮を出て下宿したので、
その後は「部屋回り」とは縁が切れた。
だが今となっては、いい思い出だし、
自分を磨く鍛錬場でもあったのだと思う。
まあ、今これをやったら、
一発でコンプラ違反だろうけれど。
