朝、ふっと目が覚めたときに、
三宅島を一周した正月のことを思い出した。
独身の頃は、毎年のように三宅島の実家へ帰省していた。
30歳の正月、何か記念になることをしたくて、
思いつきで島を一周してみようと思ったのだ。
三宅島は、伊豆七島の中で大島と八丈島のあいだにある島。
お椀を伏せたような丸い形で、
海沿いに集落が点々と続き、
それらをつなぐ一周30kmの道路がある。
右に走り出せば、左から帰ってくる——
そんな単純で、気持ちのいい島だ。
朝8時に出発して、
帰ってきたら風呂に入って、
大学ラグビー選手権の準決勝をのんびり観よう。
そんな算段だったから、あれは1月2日だったのだろう。
高校時代は運動が嫌いだった。
けれど三年間の寮生活で、体力はいつの間にか人並みに戻り、
大学ではラグビーを始めた。
一年生の夏休みには、もっと走れるようになりたくて、
朝は右へ3km、夕方は左へ3km、
毎日コツコツ走っていた。
社会人になってからも、
日曜日はクラブチームでラグビー。
出張がない日は、夕方に走るか、ジムで泳いでいた。
そんな生活だったから、
30歳の三宅島一周も“軽く3時間くらいだろう”と踏んでいた。
ところが準備不足の思いつきランは甘くなく、
最後の数キロは脚が動かず、
立ち止まり、歩き、また走り、
ヘロヘロになって家に戻った。
風呂に入っていたら、
もう大学ラグビー準決勝の第一試合が始まっていた。
予定は大幅に狂ったが、
それもまた、あの頃の自分らしい。
思いついたらすぐ動いてしまう性癖は、
あれから40年近く経った今も、
どうやら治っていない。
今朝ふとよみがえった、
30歳の正月の記憶。
懐かしくて、少しだけ胸が温かくなった。
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