20代の頃に書きためていた5冊分の原稿を、ようやくひとつの形にまとめ終えた。
長い時間をかけて磨いてきた革靴の仕上げに、最後のワックスをかけるような感覚だ。
Kindle本づくりは、いつの間にか“工房の仕事”に近くなってきた。
売るためではなく、自分が読みたい本を、自分の手で丁寧につくる。
棚にそっと置いておいて、気に入った人が手に取ってくれたら、それで十分だ。
今日からは、残っていたスピンオフの「遠航日記」を整え直す。
40年以上前の自分が残した日記に、今の自分が静かに手を添える作業。
工房の朝にふさわしい、落ち着いた時間が流れている。

