シイラの話

今回はシイラの話なんですが、皆さんはシイラというサカナをご存知でしょうか?誰ですか、“シイラない”なんて言っておやじギャグをとばして嬉々としているのは…… 座布団はあげませんよ!

このサカナは外洋でトローリングをしている人にはお馴染みなんですがどちらかと言うとマイナーなサカナですね。しかし日本ではマイナーですがハワイやミクロネシアの島々では、日本人がタイを珍重するような感じで、シイラが一番の高級魚なんですね。
外見はわがままおやじさんが描いてくれたようなかんじですが、この絵はメスでオスはおでこがもっと角張っています。冷凍マグロ船の水揚げに行きますと、マグロ以外の雑物(ざつもの)として沖サワラなどと一緒に良く見かけます。私はこのオスのシイラを見ていると、赤塚不二夫の漫画“もーれつア太郎”にでていた“デコッ八”という少年の顔を思い出します。

このサカナはハワイではマヒマヒと呼ばれています。私も遠い昔、学生時代に遠洋航海実習でホノルルに入港した時にマヒマヒサンドという白身魚のフライのサンドイッチを食べた事がありました。また英名はDolphin Fishで“老人の海”の原書を読みますと、漁師がこれを食べたというくだりがありますが、“イルカを食べた”なんて訳すと環境保護団体の方にしかられてしまいますよね。

九州ではよくこのサカナを練り物の原料にしているようですが、白身のサカナで鮮度がよければ刺身もいけます。皆さんも伊豆や房総の民宿で“このヒラメうまいなぁー”なんていって食べているかもしれませんね。

サケの話

そうそうまだサケの話、やってませんでしたね。早速サケの能書きいっちゃいましょうか!

市場でお目にかかるサケはシロサケ・ベニサケ・ギンサケ・サクラマス・アトランティックサーモン・ニジマスといろいろ種類がありますが、1番のお馴染みはなんといっても新巻サケの原料のシロサケでしょう。秋に産卵のために川に帰るところを漁獲されるのでアキサケともいわれています。日本近海で獲れるサケの八割はこのシロサケです。ところがシロサケのなかでも春先に日本沿岸に来て、”時知らず”と言われている、トキサケは味もよく市場でも特別の評価を受けています。

川で生まれ海を下り外洋を回り、また生まれた川で生殖活動をして一生を終えるサケが、どうやって母川回帰するのか、川でも海でも生きて行けるのはナゼか、その生態はまだ完全には解明されていないようです。これまでの研究で親と別の川で放流したサケが、放流した川に戻っているので、遺伝ではなく稚魚期の記憶で母川に戻るようです。また嗅神経を切断したり鼻に栓をしたサケが母川に戻れなくなることから、稚魚期に母川の匂いを非常に敏感に憶えているようです。

家に寄り付かない親不幸な子供や酔っ払ってなかなか帰ってこない親爺ィにはサケの曲がったハナをくっつけた方がいいかも・・・

さてさて話がそれてきました。生鮮や冷凍で盛んに輸入されるベニサケや、“お刺身サーモン”として最近脚光を浴びているノルウェイのアトランティクサーモンやチリのギンサケについては次回詳しくお話しますネ。

サメの話 [モーカのホシ!? (宮城県気仙沼市)]

 

気仙沼はサンマの水揚げ港として有名ですが、一年中近海のマグロの延縄漁船が入港してメバチマグロ、メカジキ、サメ等が盛んに水揚げされます。私の勤めていた会社は冷凍・生鮮問わずマグロ類を扱っているので私も気仙沼にちょくちょく出掛けてました。ここ気仙沼と西の近海マグロの水揚げの中心の紀州・勝浦は乗り換えが多く時間がかかります。しかしながらそれもまたよしのんびりした出張旅行なのです。

ここのセリは7時位から始まりますので築地にいるときよりはのんびりできます。近海で操業する船主体なので生のカツオ・マグロ類ばかりですがサメも非常に多く水揚げされます。ここ気仙沼は日本一のフカヒレ加工の町で生産量は全国生産量の7割を占めると聞いています。

ちょっとばかりサメに関して能書きを並べましょうか、まずサメやエイは軟骨魚類で硬い骨は一本もありません。“サメ肌”などと言われるようにウロコはありません。魚は普通メスが産んだ卵にオスが精液をかけるのですがサメは体内受精で繁殖します。性質はおとなしいものから凶暴なものまで様々で肉の味もアンモニア臭が強く食べれないものから、カジキに負けない位美味なものまであります。イタリアで盛んに輸入しているサメもあります。

タイトルのモーカというのは毛鹿鮫(ネズミサメ)のことで、まだら模様の斑点があり英語ではPORBEAGLE SHARKと言います。この PORBEAGLE と言うのはイルカ(PORPOISE) と ビーグル犬 (BEAGLE) の合成語でまさに名は体を表わしています。またホシと言うのは心臓のことで、気仙沼に始めて来た時にこれここの名物だと言って地元の人に出されたレバー刺しもどきがこの
モーカのホシだったのです。ちなみにこれはさっぱりしていて結構いけます。

99/08/23

カジキの話

 

マグロの話のところで少しお話しましたが、カジキは延縄漁船がマグロと一緒に漁獲するためかカジキマグロと呼ばれています。しかしマグロがサバ科に所属するのに対して、カジキはマカジキ科とメカジキ科所属で全く“他人の関係”なのです。市場でもマグロ類を“大物”“太物”とカジキ類を“長物”と言っています。

カジキと言うとヘミングウェイの「老人と海」を連想される方が多いと思います。沖縄の与那国島周辺では今も一人でクロカワカジキを獲りに行く伝統的な漁があります。また秋口に伊豆諸島の三宅島や神津島周辺では突きん棒漁といって、へさきに大きなモリを持った人を待機させ一気にマカジキを突く豪快な漁もあります。これなどは究極の生け〆処理、身の色のあがりも味も申し分ないでしょう。

築地市場にも突きん棒のシーズンになると、伊豆諸島と築地を往復する貨物船などで長い木箱に氷詰になったマカジキが盛んに搬入されて長物セリ場を賑わします。

さあ一通りカジキたちのことを話していきましょうか。まずマカジキはオレンジがかった赤身で色持ちがよく刺身で人気があります。メカジキは白身で寿司屋でも握りますし、米国ではサーモンと並びシーステーキの人気商材です。クロカワカジキ・シロカワカジキは味が粘っこい感じで少しクセのある味ですが、脂ののったものは刺身でもいけます。三崎名産のシロカワの粕漬けは絶品中の絶品です。その他にもバショウカジキは英名Sail fish で背ビレが大きく帆船のような優雅な形態なのですが、相対的に魚体が小さく姿とうらはらに商品価値はいまいちです。

カジキ釣りはスポーツフィッシングの最高峰で人々を熱狂させているのですが、残念ながらゲンゲンは釣りにはあまり縁がないんで今日はこのへんで落ちまする・・・

99/08/23

サンマの話

サンマはかつて10月に房総沖で獲れるものが主流で秋の定番のサカナとなっていましたが、現在では輸送手段も多様化して8月初旬の道東(北海道の東部)沖の若魚から築地の市場を賑わします。そんな訳で新サンマが築地市場の鮮魚のセリ場に出回り出したのでサンマの能書きいってみましょうか

サンマはもともと北のサカナでオホーツク海周辺にいますが産卵のために寒流にのって南下するのです。従って漁場も水揚げ港も8月初旬の北海道東沖から始まって三陸、常磐、房総と南下していきます。

漁法は集魚灯を利用した棒受網漁業でそれこそ一網打尽ですので、魚群が紀州沖や土佐沖まではなかなか辿り着けないようです。そういえば那智勝浦へ出張すると、脂のぬけたサンマを使ったサンマずしや丸干しをよく見かけます。

はやいものは7月から市場におめみえするこの新サンマ、量が少ないのといわゆる“初物”好きに支えられて非常に高値で取引されます。この高値をみて登場するのが解凍サンマです。これは前年の盛漁期に水揚げ量が増えて相場が下がった時に冷凍保存したものです。そしてこの解凍サンマは漁が本格化して相場が下がり、スーパーのチラシに盛んにサンマが姿を現すころにはいつのまにか消えてしまうのです。

昔から“サンマがでるとあんまがひっこむ”と言われるほどこのサンマには脂がありカロリーも高く栄養満点です。ビタミンBはレバー並みでビタミンAも豊富です。マンションでは煙が気になりなかなか思い切りサンマも焼けないので七輪持ち込みでどこかでサンマ・オフ会なんていうのはどうでしょう。

マグロの話

 

熱心な読者よりマグロの話しはどうしたと言われました。そうでしたまだくわしく解説していませんでしたね。それでは主なるマグロを自己流ですが1通り解説してみましょうか。

本鮪(クロマグロ)
代表的なマグロ。主に北半球の温帯水域の高緯度部に生息する。日本近海、ボストン・カナダ沖、ビスケー湾周辺等が代表的な漁場。紡錘形をしていて体長は2.5m 体重は300Kgを超える。冬場に青森の大間等の北の港で水揚げされるものは築地で高値がつきます。また5月から9月に金華山沖でまき網船が漁獲するものも市場を賑わします。今年はこのまき網ものが豊漁で出だしの10日間で例年の倍の水揚げを記録しました。

インド鮪(ミナミマグロ)
本鮪の近似種で主に南半球の高緯度地域に生息する。主な漁場はケープ沖、オーストラリア大陸の南岸、ニュージィランド周辺等、南半球の冬にあたる5月から9月が盛漁期である。

目鉢鮪
本鮪より暖かい水域に広く分布する。昼間深いところにいるので目が大きく体形も本鮪に比べずんぐりしていて未成魚はダルマと呼ばれている。水温の低いところに生息するものは脂がのり本鮪やインド鮪より高値のつくものもある。

黄肌鮪
熱帯水域を中心に目鉢同様広く分布する。目鉢に比べ頭や目は小さく尾部は長い。赤身主体。東南アジアから盛んに空輸され、関西で人気がある。

袖長鮪(ビンチョウ)
比較的小型の魚で体長1.2m 体重30Kg 胸ビレがリボン状に長く、”とんぼ”と呼ぶところもある。白身で身が柔らかく東海、伊勢地方以外ではあまり刺身にしていなかったが最近はスーパー中心にだいぶ出まわるようになってきました。ちなみにツナ缶でホワイトミートはこのマグロ、ライトミートは黄肌やカツオを原料にしています。

他にもカジキマグロなどと言われるものがありますが、マグロ類はサバ科でカジキはマカジキ科とメカジキ科に属するのでカジキに関しては次回 ”カジキの話”をお楽しみに・・・

99/07/09

イワシの話

先日、山からHPの師匠が東京に出てきたので、ネット仲間が集まり私のホームグランドでミニオフ会が開催されました。場所は前に紹介したことのある月島の居酒屋 “岸田屋”です。まずは究極のおつまみ3点セットの煮込み・肉豆腐・かけしょうゆ(マグロの中落ち)と魚に飢えている師匠にとイワシの刺身・ギンダラの煮付け等を注文しました。イワシは大正解! 表面に脂が浮き出てテラテラ輝き口のなかでとろけます。イワシは一年中あるのですが夏場は脂がのっていていけるんですよね。さてここで得意の能書きを並べちゃいますか。

このイワシ昭和の終わりくらいまでは年間400万トン以上漁獲されていて、また魚へんに弱と書くくらいですから、腐りやすく”猫またぎ”などといわれていました。最近は漁も低調で全盛期の1/10以下ですが相変わらず大部分は餌料(養殖魚の餌等)や肥料にまわされています。

一番一般的なのがマイワシでニシン科に属し日本近海どこでもいます。カタクチイワシは煮干の原料で英名アンチョビーのほうがお馴染みかもしれませんね。あとウルメイワシは丸干しの原料です。

このイワシ、築地ではセリ人泣かせの曲者で、鮮度・大きさ・脂ののりがプロのメガネに適うとすし屋向けにキロ2000円以上の値がつきますがちょっとはずすと安値はスーパーの惣菜向けのキロ100円以下もでて来ます。

宴もたけなわイワシの刺身にのどごしよく冷酒もガンガン飲んでミニオフも盛り上がります。師匠曰く「次はカラオケだぁーー!」今日は夜が長い……