サメの話 [モーカのホシ!? (宮城県気仙沼市)]

 

気仙沼はサンマの水揚げ港として有名ですが、一年中近海のマグロの延縄漁船が入港してメバチマグロ、メカジキ、サメ等が盛んに水揚げされます。私の勤めていた会社は冷凍・生鮮問わずマグロ類を扱っているので私も気仙沼にちょくちょく出掛けてました。ここ気仙沼と西の近海マグロの水揚げの中心の紀州・勝浦は乗り換えが多く時間がかかります。しかしながらそれもまたよしのんびりした出張旅行なのです。

ここのセリは7時位から始まりますので築地にいるときよりはのんびりできます。近海で操業する船主体なので生のカツオ・マグロ類ばかりですがサメも非常に多く水揚げされます。ここ気仙沼は日本一のフカヒレ加工の町で生産量は全国生産量の7割を占めると聞いています。

ちょっとばかりサメに関して能書きを並べましょうか、まずサメやエイは軟骨魚類で硬い骨は一本もありません。“サメ肌”などと言われるようにウロコはありません。魚は普通メスが産んだ卵にオスが精液をかけるのですがサメは体内受精で繁殖します。性質はおとなしいものから凶暴なものまで様々で肉の味もアンモニア臭が強く食べれないものから、カジキに負けない位美味なものまであります。イタリアで盛んに輸入しているサメもあります。

タイトルのモーカというのは毛鹿鮫(ネズミサメ)のことで、まだら模様の斑点があり英語ではPORBEAGLE SHARKと言います。この PORBEAGLE と言うのはイルカ(PORPOISE) と ビーグル犬 (BEAGLE) の合成語でまさに名は体を表わしています。またホシと言うのは心臓のことで、気仙沼に始めて来た時にこれここの名物だと言って地元の人に出されたレバー刺しもどきがこの
モーカのホシだったのです。ちなみにこれはさっぱりしていて結構いけます。

99/08/23

カジキの話

 

マグロの話のところで少しお話しましたが、カジキは延縄漁船がマグロと一緒に漁獲するためかカジキマグロと呼ばれています。しかしマグロがサバ科に所属するのに対して、カジキはマカジキ科とメカジキ科所属で全く“他人の関係”なのです。市場でもマグロ類を“大物”“太物”とカジキ類を“長物”と言っています。

カジキと言うとヘミングウェイの「老人と海」を連想される方が多いと思います。沖縄の与那国島周辺では今も一人でクロカワカジキを獲りに行く伝統的な漁があります。また秋口に伊豆諸島の三宅島や神津島周辺では突きん棒漁といって、へさきに大きなモリを持った人を待機させ一気にマカジキを突く豪快な漁もあります。これなどは究極の生け〆処理、身の色のあがりも味も申し分ないでしょう。

築地市場にも突きん棒のシーズンになると、伊豆諸島と築地を往復する貨物船などで長い木箱に氷詰になったマカジキが盛んに搬入されて長物セリ場を賑わします。

さあ一通りカジキたちのことを話していきましょうか。まずマカジキはオレンジがかった赤身で色持ちがよく刺身で人気があります。メカジキは白身で寿司屋でも握りますし、米国ではサーモンと並びシーステーキの人気商材です。クロカワカジキ・シロカワカジキは味が粘っこい感じで少しクセのある味ですが、脂ののったものは刺身でもいけます。三崎名産のシロカワの粕漬けは絶品中の絶品です。その他にもバショウカジキは英名Sail fish で背ビレが大きく帆船のような優雅な形態なのですが、相対的に魚体が小さく姿とうらはらに商品価値はいまいちです。

カジキ釣りはスポーツフィッシングの最高峰で人々を熱狂させているのですが、残念ながらゲンゲンは釣りにはあまり縁がないんで今日はこのへんで落ちまする・・・

99/08/23

サンマの話

サンマはかつて10月に房総沖で獲れるものが主流で秋の定番のサカナとなっていましたが、現在では輸送手段も多様化して8月初旬の道東(北海道の東部)沖の若魚から築地の市場を賑わします。そんな訳で新サンマが築地市場の鮮魚のセリ場に出回り出したのでサンマの能書きいってみましょうか

サンマはもともと北のサカナでオホーツク海周辺にいますが産卵のために寒流にのって南下するのです。従って漁場も水揚げ港も8月初旬の北海道東沖から始まって三陸、常磐、房総と南下していきます。

漁法は集魚灯を利用した棒受網漁業でそれこそ一網打尽ですので、魚群が紀州沖や土佐沖まではなかなか辿り着けないようです。そういえば那智勝浦へ出張すると、脂のぬけたサンマを使ったサンマずしや丸干しをよく見かけます。

はやいものは7月から市場におめみえするこの新サンマ、量が少ないのといわゆる“初物”好きに支えられて非常に高値で取引されます。この高値をみて登場するのが解凍サンマです。これは前年の盛漁期に水揚げ量が増えて相場が下がった時に冷凍保存したものです。そしてこの解凍サンマは漁が本格化して相場が下がり、スーパーのチラシに盛んにサンマが姿を現すころにはいつのまにか消えてしまうのです。

昔から“サンマがでるとあんまがひっこむ”と言われるほどこのサンマには脂がありカロリーも高く栄養満点です。ビタミンBはレバー並みでビタミンAも豊富です。マンションでは煙が気になりなかなか思い切りサンマも焼けないので七輪持ち込みでどこかでサンマ・オフ会なんていうのはどうでしょう。