モーニングノートを始めた日のことを、
いま思い返すと少し笑ってしまう。
まだ、ペリカンの指の置き方をガイドした
初心者向けの万年筆で書いていた。
あの、指の位置まで決められている、
“書かされている” 感じのするやつだ。
それでも、朝の机にノートを開いた瞬間、
なにかがスッと流れ始めた。
夢の断片、
太りすぎを注意された健康診断のこと、
30歳を過ぎて気が緩んだ話、
生活の湿度みたいなものが
勝手にページの上に広がっていった。
気がつけば、
3ページどころか5ページ以上も殴り書きしていた。
ペリカンJrの細い軸が、
まるで川底の石みたいに手に馴染んで、
書くたびに “ああ、これは続くな” と
身体のほうが先に理解していた。
あの日の午前中の光は、
いま思えば、
私の内部の清流の“最初のきらめき”だったのかもしれない。
