雨の日の砦が完成した日

朝から雨だった。

外の世界がゆっくり閉じていく気配があって、今日はもう外に出なくてもいいと身体が先に決めていた。

新しいソファチェアは、思った以上に“ゆりかご”だった。

もう一つの椅子に脚を乗せると、膝を軽く曲げ伸ばしできて、身体が勝手に休む方向へ傾いていく。

左ヒザが少し疼くのも、むしろ心地よい。

立ちっぱなしの仕事を辞めてから痙攣がなくなり、身体の現在地が静かに変わっていくのがわかる。

シフトが固定されずに、平日の休日や遅番で朝が自由にできる日もあって、

小机の光、ソファチェアの姿勢、Kindle作業の余韻、ドラマを浴びる時間。

その全部が“内側の風”になっていた。

徘徊は、外の風と内の風が交差したときに深くなるけれど、

今日は内側だけで十分に満ちていた。

雨音、湿度、濡れた土の匂い、傘の内側の静けさ。

歩くかサボるかの“揺れ”まで含めて、雨の日は心の奥底の徘徊にとって最高の舞台装置だ。

雨が強ければ雨宿りしてサボるのもいい。

風の向くまま気の向くまま。

その精神が、今日は自然に身体に宿っていた。

外に出なくても、徘徊は出来るんだ。

雨の日の砦が、今日ひとつ完成した。

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